避難安全検証法の流れ

概要

平成12年の建築基準法改正により、「避難安全性能」に関する性能規定が導入されました。これに伴い、「従来の仕様的に行われてきた避難安全計画」に加え、「工学的手法を用いた性能的避難安全計画」を採用することが可能となりました。

建築基準法では、「避難安全性能」に関し、「階避難安全性能」と「全館避難安全性能」の2つが定義されています。
・階避難安全性能:建築基準法施行令第129条
・全館避難安全性能:建築基準法施行令第129条の2

日本防災研究所のコンサルティング

当社では、どの検証法を適用すべきかのご相談を承っております。案件やオーナー様のご意向により、向き不向きがあり、さらに検証法を適用しない方がいいケースもございます。じっくりとお話を伺ってから、最適な検証法をご提案致します。
※各検証法の詳細は該当の手続きをクリックしてご確認ください。
ルートA (仕様規定に設計を行う)
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ルートB (一般の確認申請手続き)
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ルートC (大臣認定が必要な手続き)
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避難安全検証法の詳細

ルートA(仕様規定に設計を行う)

建築基準法によって定められた規定に則って、設計を行う方法のため、コンサルタントは不要です。

ルートB(一般の確認申請手続き)

メリット
1コストメリットが高い
ルートCに比べて、費用が安く、適用除外する項目もルートCとほぼ同様の内容が可能になる。検証法を行い、排煙規定免除することで、排煙設備をなくすことができ、オフィスビルだと高層区画をなくすことで、防火防煙シャッターを減らすことが可能である。
避難安全検証の計算式を満たせば成立することができる。
2スケジュールが短い
一般の確認申請手続きと審査は同じため、事前検討や資料作成期間を調整すれば、容易にスケジュールに乗せることができる。なお、確認申請が下りるまでの指摘対応の作業に含まれる。
デメリット
1成立するための条件が厳しい用途
可燃物量の多い室用途(事務室・図書室・倉庫など)、在館者密度が高い用途(集会場・劇場など)の条件では、天井高さを上げる、出口幅を広げるなどの成立するための条件が発生する。
また、ルートCに比べると煙降下時間を算定する告示式が、厳しく設定されているため、小さい事務室などの計画では成立しない場合がある。
2前室状の空間が必要になる
避難安全検証法では、避難階段または竪穴区画に煙が入るまでの時間までに、在館者が避難完了している必要があり、そのために避難階段または竪穴区画の前に煙が流入しないようにバッファー空間を設け成立させる場合が多い。この時前室状の室の扉は遮煙性能のある防火設備(建築基準法施行令第112条13項二号に準ずる防火設備)とする必要がある。
3竪穴底部での火災が想定できない
法規の通り検証を行うため、竪穴空間に煙が流入してはならない。すなわち、竪穴の底部(吹き抜けの底部など)で火災が発生することを許容できない場合がある。
なお、ルートCでは詳細な煙性状を確認することで、竪穴底部での火災を想定することができる。
スケジュール
  • 1 事前の概略検証に1~2週間程度
  • 2 資料作成業務3週間程度
※案件の規模によって変わります。

ルートC(大臣認定)

メリット
1検証の自由度が高い
  • ルートBでは成立しない室条件でも成立する可能性が高い。
  • 詳細な煙性状シミュレーションにより、より自由度の高い空間計画が可能となる。
2防災計画の信頼性が高い
  • 防災計画の専門家の審査員に評価を頂くため、防災計画上の信頼性は極めて高い。
  • 防災性能の評価を大臣が認めているため、国外の顧客に対するテナントリーシングなどで、有利に働く可能性が高い。
デメリット
1大臣認定取得までの期間が長い
下記のスケジュールの通り、大臣認定まで6カ月程度の時間を有するため、ルートCを適用する場合は、基本計画の段階で適用する可能性を加味し、スケジュールを組み立てる必要がある。
また、これは計画変更の度に大臣認定が必要となるため、それも加味して竣工までのスケジュール計画を作成する必要がある。
2本質的な防災計画の安全性が問われる
  • ルートCでは、性能評価機関の防災性能評価委員会により建物の安全性を審査するため、建物が避難計画上本当に安全なのかが問われる。例えば、ルートCでは、廊下における安全性が問われるため、廊下は安全区画とし、安全区画に面する扉を遮煙性能のある防火設備とし、避難経路を守る計画が必要となる。
  • 計画の自由度が上がる代わりに、防災計画上重要な避難経路等は、より強固に安全性を高めた計画とする必要がある。
スケジュール
  • 1 事前の概略検証に1カ月程度
  • 2 資料作成業務1カ月程度
  • 3 性能評価の委員会2~3か月程度
  • 4 大臣認定の審査2カ月程度
合計6カ月程度の作業が必要となります。

竣工後対応/あらかじめ検証

弊社では、ルートB、ルートC共に竣工後の間仕切り変更対応においても成立可能な条件整理の検証業務を対応致します。
なお、原則変更したプランにおいて、行政又は民間の確認審査機関に変更した旨を届出る必要があります。ルートCは本来、大臣認定取り直しとなりますが、あらかじめ検証を竣工前に大臣認定取得していれば、その手続きを省略することが可能となります。

あらかじめ検証(ルートC)のメリットデメリット

メリット
・間仕切り変更等があると、原則、大臣認定の取り直しが必要であるが、不要となる。
・大臣認定を取得したルールを用いるため、再度審査せずに成立の確認が可能で、容易に変更したプランの確認が可能となる
デメリット
・あらかじめ検証の設計ルールは、変更した間仕切りによる大事認定の審査を省くため、多くの安全率を見込まなければならず、内装設計ルールが厳しくなる。

お見積もりについて

お見積もりには以下の内容をご準備いただく必要がございます。
1)平面図
2)断面図
3)天井高さがわかるもの

※規模や検証の複雑度合いなどにより、金額が異なるため、プランを確認させていただき、見積もり金額をお知らせ致します。